〈他分野・空間をつなぐ〉チーム
【あまみずコーディネータ養成講座:原案】
本チームの課題には,人材育成が含まれる.これはむしろ〈多世代・時間をつなぐ〉チームにふさわしい.この課題に対する本チームの位置づけは,〈多技術・知恵をつなぐ〉チームとの中間として,分野連携を図るものになろう.
ねらい
「あまみず社会」は分散型水循環要素技術の設置・活用を,住民がボトムアップで連携・実施することにより成り立つ.思想的にその過程は,治水と利水すわち risk(危機)と benefit(恩恵)の矛盾的同一を,環境すなわち acceptance(受容)において,少数の主体が止揚・実現するという意義をもつ.この技術を担う主体は従って,水循環をめぐる多様な関係を調整する能力をもたなければならない.複雑な関係性を俯瞰しつつ,個別の技術的課題に臨機応変に対処しければならない.人々の共感を得て(conviviality),その主体的な参与を促し,相互に支援する関係を築かなければならない.
このような観点から,あまみずコーディネータ養成講座を設計するのがいいのではないかと思う.対象者は,まずは,技術者と一般市民の両方を含むものとなろう.一方,講師は総合的な視点をもち,具体的な対象施設・地域に関わり,具体的な技術のノウハウを熟知する者が担うことになろう.
構成
このようなねらいに基づいて,講座を構成するとすれば,基本的に,以下のようなことになるであろうか(一コマ 1 時間).特定の場所を考えつつ,そのことに拘泥せずに,汎用性・発展性のあるものができるであろうか.
起:分散型水管理をとおした convivial な,あまみず社会の実現
承-1:流域治水の取り組みとあまみず社会
承-2:あまみずの貯留浸透活用技術
承-3:あまみずと住宅建設の基準
転-1:あまみずの住宅・建築の仕組みと課題――雨水ハウス,荻浦ガーデンサバーブ,新宮北小学校
転-2:雨庭の仕組みと課題――京都学園大学・太秦キャンパス,京都駅・緑水歩廊,相国寺枯山水庭園
転-3:ケーススタディ――樋井川流域における実験的試みのワークショップ
結:まとめと講座の今後
これらをもとに,あるいはこれらに先立って,テキストの作成・出版を考えたい.
以上 山下三平