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4つのチーム

〈多技術・知恵をつなぐ〉チーム

 本チームは、工学研究者が中心になった適正技術を開発するチームである。技術の多面性と多機能性と日本の伝統的な知恵をつなぐ。全体のビジョンを描き、要素技術の開発、効果の評価を行う。

 

〈多世代・時間をつなぐ〉チーム

 樋井川流域の現場で直接、多様な主体に働きかけるチームである。流域内の多様な世代と連携を図りながら、地域の課題を発掘し、さまざまな人との連携を図り、雨水社会の概念と手法の普及を図るグループである。

 

〈多分野・空間をつなぐ〉チーム

 あまみず社会構築が進むためにはそれを支える建築士などの技術者が必要であり、そのためのコーディネーター養成講座を行う。また、制度的の研究、さらに他流域として、東京の善福寺川にあまみず社会の概念と手法を移転する。

 

<多の物語をつむぐ>チーム

 地域の文化的資源の発掘や社会調査に基づき、流域の空間履歴と人の心を重ね合わせ多くの人が共有できる物語を構築するチームである。樋井川流域物語の作成、地域知ネットワークマップ作成、多世代共創の仕組みの評価などを行う。

研究が目指していること
 

私たちが目指すのは、雨水をためる過程において、さまざまな人々がつながり、命の源である水の尊さを知り、環境改善に主体的にかかわることの面白さ、可能性を知り、それを実行できる社会をみんなでつくりあげていくことである。そして、山から海に至る、水と緑の回廊において人々が集い、くつろぐ環境の再生に人々が多様に関わる社会である。

 

①人びとの生き方(福祉)の幅を増やす技術を核とした都市設計

特に重要なのは、環境の再生とは何かという問いは、人びとがその地域でどうよりよい生き方をしたいか(福祉)ということに密接にかかわるという基本的なことである。この研究で作り上げようとしている中間適正技術(あまみずインフラ)ネットワークは、地域社会が抱えている多様な社会問題(世代の分断と人びとの孤立、格差化とすみわけ、高齢化、空き家問題など)を副次的にやわらげたり、解決への道筋を作ったりすることが期待されている。もちろん逆に、社会問題を解決する上であまみずインフラの取り組みが利用されることもある。

 

②リスク・マネジメントと生き方の幅

 生き方とその評価に深くかかわる、日常の中でのリスク・マネジメントについては、水管理システムとは何かに気付き、その重要さと自らがその問題に関われることを知ることが重要である。一見、個人の手から離れたように見える大きなシステムも、個々の努力によって改善できる可能性があり、自律的で持続的な社会を構築する時には普遍的な目的であると考えている。あまみずインフラはそのための中核となるネットワークとなりうる。すでに試みられている中間適正技術のもたらした副次的システムへの社会的評価(特にあまみずインフラの整った住宅街に住んでいる方々を中心に)を明らかにし、そこで副次的に生まれているあまみずインフラの社会的機能を調査しながら、リスクの定量的測定も試みる。ただしその際には、リスクの評価自体が、時代と他の人びととの関わりから変容することも念頭に置く。

 水の制約を見えるようにし,自ら循環に参与することの重要性:めざすべきあまみず社会とは、制約を知るものによる慎み深い社会でなければならない。近代技術は自然的制約の突破に偏っている。伝統社会にも技術刷新はあるがそれは制約に対する慎みとともにある点が大切である。ネイティブアメリカン等に範を求めるまでもなく,日本の中山間地域の農山村にも,そのようなあり方を垣間見ることができる。都市の中で、そのような関係性を再構築するのは容易ではないが、自然の猛威が強まりかつ人口減少が進む社会においては循環の意義は一層高まり、都市においてこそ追及すべきことなのではないかともおもわれる。

 さらに、洪水について考えてみると100mmの雨が降ったとしても、それは単に10cmに過ぎないが、その水が集まると洪水となる。もしも自分の所に降った雨を自分の所に留めると(100坪の敷地の家が100mmの雨を全部ためても30㎥である、あふれる量が降った雨の10%程度であることを考えると3㎥ためたたけでも)洪水は減るはずである。雨水貯留の効果は、近傍には直接的に治水効果をもたらす。たとえば、あるコミュニティの近くにいつも水がたまる道路があったとしよう。それを防ぐためには、その上流近接域に雨水貯留、浸透施設を設置することにより防ぐことが、そのコミュニティとして可能である。雨水を貯留すればその水は自分で使うことも可能である。水害を防いだり、地震の時の危機管理に役に立ったりと、コミュニティの道具としてのコモンズとしての機能も持つ。近代社会が排除しつづけてきた,中小規模のコミュニティを,あらたに形成すること,そのことを支える技術と言える。
 

 以上のような基本的な思想に支えられながら、樋井川での変容、善福寺川での変容を経て全国に本研究成果は広がっていくものと考えている。

RESEARCH MISSION

研究の目標

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