TOWARD A RAINWATER SOCIETY
あまみず社会に向けて
本研究会では、樋井川の洪水を契機に流域内で水を貯留浸透する活動、すなわち流域治水を地域の方々と共にを進めて参りました。
この研究会ではその活動をさらに発展させ、流域内のすべての場所であまみずの貯留・浸透を行い、分散型・自立型のあまみずシステムを従来の水管理システムのサブシステムとして位置付けるために、どのようにすればよいのかというテーマに挑戦します。
利水面から見ると1年間に60坪の敷地に降る雨量と4人家族が使う量はほぼ同じであり、水の一部自立は十分に可能です。
治水面から見ると都市化による水循環の変化が洪水氾濫の主因ですから、貯留浸透により水循環システムを健全化できれば洪水氾濫は減少すると考えています。
さらに、震災時には、水道や下水道が使えなくなり、トイレ用水や生活用水に困まる方が大勢いますが、団地、公園、体育館などに雨水を貯留すれば、量的にあるいは質的には十分に利用可能です。
雨水貯留は、都市内の緑の増加、蒸発量の増加に寄与、しヒートアイランド現象を緩和します。また、ため池貯留は、ため池の管理に治水費の投入を可能とし、農業人口が激減している都市近郊の破堤リスクを減少させることが出来ます。
ここで提案する雨水社会は、これまでの集約、集権的な水管理から、多様な主体による分散型で冗長性の高い、新しい水管理システムです。人口が減少社会の中、維持管理に優れた仕組みです。
雨水を貯め、使う過程で、多様な世代、主体が協力しつながり、時空間をつなぐ物語をつむぐことができる。緑を豊やし、暖かい楽しい雨水社会の構築を目指しています。
研究代表者 島谷幸宏
研究メンバー
九州大学 工学研究院・決断科学研究センター
島谷幸宏 林博徳 厳島怜 菊地梓 安田章人
田浦扶充子
福岡県 建築士会
角銅久美子 木村洋子 春岡須磨子
九州産業大学 工学部
山下三平 日高圭一郎
東京大学 新領域創成科学研究科
福永真弓 岩佐礼子
福岡大学 工学部
渡辺亮一 伊豫岡宏樹 浜田晃規
福岡工業大学 社会環境学部
森山聡之
熊本大学 自然科学研究科
皆川朋子
東京学芸大学 環境教育研究センター
吉冨友恭
多世代共創とは
JST-RISTEX(科学技術振興機構ー社会技術研究開発センター)が設定した領域が「多世代共創社会のデザイン」という研究領域である。
わたくしたちのチーム(あまみず社会研究会)では、「多世代共創」を「世代を超えて色々な世代、主体が協力し、地域を作り上げることの実感」であり、「小さなことを積み上げて、集積して、粘り強くよりよい社会へと変容させる取り組み」のことと定義している。
本研究の多世代とは、
「時間の多世代」
歴史的な蓄積をもつ都市を未来につなぐ、過去、現在、
未来という時間の多世代
「空間の多世代」
山から海に至る空間の多世代
「人間の多世代」
今ここに生きる、子供から高齢者までの老若男女の多世代