あまみず集合住宅(荻浦ガーデンサバーブ)雨水貯留
福岡県糸島市の荻浦ガーデンサバーブで建設された、「あまみず貯留」について紹介します。
数年前、この集合住宅を計画されていた時、大建の松尾社長が九大に相談に見えました。とても志が高い方で、居住者が、くつろぎ、語らいあえるような共有の空間があり、居住空間も広く、環境にやさしい住宅を安く提供したいというお考えでした。そのために日本人にはあまりなじまない、借地方式の集合住宅を作るのだというお話でした。
さて、私へは「使った水を再利用して、集合住宅で使えませんか」という相談です。私は「一回使った水を処理するのは、コストもかかり、メンテナンスも必要なので、雨水を使ったほうがいいのではないか?」というアドバイスをさせていただきました。
その案に賛成していただき、どうせ作るなら、これまでにないものをつくろうということになりました。
そこで、当時、建築学会の方々の検討の中で、1件当たり6m3の水を貯めることが議論されていましたので、18軒で108m3以上の水を貯めることにしました。それからコストを安くするために、地下に水を貯めることにし、しかも底には防水シートを充填材料には砕石を用いました。そのため、とても安価にできています。
現在、トイレの水や散水に使われています。施工直後は硫黄臭がしていたのですが、現在では無色透明です。黄砂の影響もありません。これは砕石の間は距離が近く、その間に堆積しているためだと思います。
データをみると、2015年の水質は極めてよく、水質検査が行われた項目を見ると水道水質基準をクリアしており、飲料水にも使えるレベルの水質であることが分かります。あまみずの水質概念を変えますね。
容量 118㎥
構造 地下、砕石貯留
用途 トイレ、散水、洪水抑制
水質 当初イオウ臭 現在、無色、無臭,黄砂の影響なし
コスト 334万円
1㎥あたり3.1万円
建設のプロセス
水の仕組み
屋根に降った雨と庭に降った雨を、地下に貯めています。貯めた水は各住戸のトイレ用水として、ビオトープの水源として、庭への散水として使われます。
雨がたくさん降った時には、オーバーフローして下水道に流れ込みます。